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「伝える」ではなく、「伝わる」をつくる。Kanonが大切にする“共感設計”の話

「伝える」ではなく、「伝わる」をつくる。Kanonが大切にする“共感設計”の話

公開日2026/09/07

更新日2026/09/07

「伝えた」ことと「伝わった」ことは、同じではありません。Kanonがものづくりにおいて大切にしているのは、その先にいる人が「わかる」「それ、私も思っていた」と感じられるような、“伝わる”をつくることです。そのために私たちが大切にしている考え方を、「共感設計」と呼んでいます。

実はこの考え方自体は、創業当初からあったものではありません。でも振り返ってみると、私自身も、そしてKanonも、ずっと「共感」を大切にしてきました。

今回は、そんな「共感設計」が生まれた背景とKanonのものづくりについてお話しします。

「伝える」ではなく、「伝わる」をつくる

そもそも私たちは、企画やクリエイティブそのものをゴールだとは考えていません。Webサイトをつくることも、広告をつくることも、イベントを企画することも、あくまで手段です。

その先にいる人に、きちんと伝わること。そして、「わかる」「それ、私も思っていた」「まさにこういうものが欲しかった」と、自分ごととして受け取ってもらうこと。そのために、生活者の気持ちや価値観にできる限り相手の視点に入り込み、共感を起点にコミュニケーションを設計する。それが、私たちの考える「共感設計」です。

もちろん、ものを届ける方法は共感だけではありません。誰かを導くような伝え方もあれば、知識を与えるような伝え方もあります。その中でKanonは、「共感」というアプローチを選んで、ものづくりをしている会社です。

「共感は人を動かす」と知った原体験

なぜ、こんなにも「共感」を大切にしているのか。振り返ってみると、私は昔から、人とのコミュニケーションの中で、まず相手の立場に立ってみることを大切にしてきたように思います。

自分とは異なる意見に出会ったときも、すぐに「それは違うな」と判断するのではなく、「この人はどうしてそう思ったんだろう」と、一度その人の立場から考えてみる。そうすると、「私は違うけれど、そう考えるのもわかるな」と思えることがあります。生まれた場所も、育ってきた環境も、経験してきたことも違うからこそ、まずは相手の言葉に耳を傾けてみる。そんな人が少しずつ増えたら、もう少し優しい世界になるのではないかと思っています。

そして、「共感には人を動かす力がある」と実感したのが、Kanonが制作会社になる以前に運営していた、女性向けの習い事サービスでした。

当時掲げていたのは、「好きや得意を生かして、大人になっても夢中になれる社会の実現」というミッションです。大人になるにつれて、自分の気持ちよりも、周囲に合わせることを優先してしまうことがあります。でも、大人になったからといって、自分の「好き」や「得意」を忘れなくてもいい。

そんな想いで始めたサービスに、「私もそう思います」と共感し、会員になってくださる方がたくさんいました。そのときに初めて、「共感ってこんなにも人を惹きつけるんだ。共感から、人の輪って広がっていくんだ。」と実感しました。

今振り返ると、この経験が現在のKanonの「共感設計」にもつながっているようにと思います。

だから、Kanonは「誰がつくるか」を大切にする

共感をものづくりに落とし込むうえで、Kanonが特に大切にしていることがあります。それが、「誰がつくるか」です。

たとえば以前、プレ花嫁に向けたエステサロン案内のチラシを制作したことがありました。そのときにアサインしたのは、ちょうど自身も結婚を控えていたデザイナーです。まさに自分自身が当事者として情報を集め、トレンドを追い、いろいろなことに悩んでいるタイミングだったからこそ、その人にしかわからない温度感があると思ったからです。

また、美容クリニックの案件では、普段から美容施術を受けている、美容リテラシーの高いクリエイターをアサインしました。「リジュラン」や「ポテンツァ」といった専門用語が出てきても、すぐに内容を理解できる。クライアントにとっても一から説明するコストが減りますし、何より、実際の施術や美容医療について体感を持っているからこそ、生活者の感覚に近いアウトプットができます。

このようにKanonでは、制作物の先にいる人に近い「好き」や「経験」を持つ人を、できる限りアサインするようにしています。もちろん制作スキルも大切です。でも、それと同じくらい、その人自身の「好き」や「経験」は、ものづくりにおいて大きな力になると考えています。

好きだから、気づけることがある。経験したことがあるから、想像ではなくわかることがある。私は、やっぱり「好き」に勝るものはないと思っています。

「わかるつもり」にならないために、徹底的に体験する

ただし、ターゲットに近いメンバーをアサインしたからといって、「私はわかっている」と、その人の主観だけでものをつくるわけではありません。ここは、Kanonがすごく大切にしているところです。

担当するサービスや、その先にいる生活者について、とにかく調べる。周囲に対象となる人がいれば話を聞く。商品があるなら、実際に使ってみる。食べられるものなら、食べてみる。店舗や現場があるなら、できる限り足を運ぶ。頭の中だけでターゲットを想像するのではなく、自分の五感を使って理解する。

社内ではよく、「ターゲットに憑依する」という言い方をしています。もちろん、本当の意味で完全にその人になることはできません。だからこそ、できるだけたくさんの材料を集めて、その人が何を見て、何に悩んで、どんな瞬間に心が動くのかを考え続けます。

「きっとこうだろう」という想像ではなく、できる限り解像度高く、その人の気持ちを理解した状態でものをつくる。そこまでやって初めて、私たちの考える「共感」に近づけるのだと思っています。

そして、憑依するのはお客様に接するディレクターだけではありません。デザイナーも、エンジニアも、ライターも。プロジェクトに関わるメンバー全員が、「誰に、何を、なぜ届けるのか」を理解した状態でものづくりに入ることを大切にしています。

Kanonには、自分の担当範囲だけを渡されて「ここだけつくってください」と言われるより、プロジェクトの背景や目的まで知りたいと言ってくれるクリエイターがたくさんいます。

だからこそ、担当クリエイター全員で同じ相手を想像しながら、「この人だったら、こっちの方がわかりやすいんじゃない?」「この表現の方が、きっと自分ごとに感じてもらえるよね」と考えながら、ものづくりを進めていく。そうやって生まれたものは、“ただ綺麗なだけのクリエイティブ”とは少し違うものになると思っています。

「これでいい」ではなく、「これがいい」と選べる世界へ

今は、世の中にたくさんの選択肢があります。だからこそ私たちは、何かを選ぶときに「自分に合うもの」を探すようになりました。

私自身もInstagramで洋服を探すとき、身長や骨格が自分と近かったり、顔のタイプが似ていたりする人をつい探してしまいます。「この人が着て似合っているなら、私にも似合うかもしれない」そう思える人の発信の方が、自分にとって参考になるからです。

スキンケアでも、シャンプーでも、他のプロダクトやサービスでも同じだと思います。「人気だから」「みんなが使っているから」だけではなく、「これは私に合いそう」と思えるものを選びたい。だからこそ、これからのものづくりには、より一層「共感」が必要になっていくと確信しています。

Kanonのミッションは、「心地よい選択のできる世界をつくる」ことです。

私たちがお客様の支援を通して社会に届けたいのは、単なる「選択肢」ではありません。その人が心から納得できる選択肢です。「これでいい」ではなく、「これがいい」と、自分の意思で選べる人を増やしていきたい。企業や商品の中にある本当の魅力を見つけ、その魅力を必要としている人に、きちんと「伝わる」形にする。

そのために私たちはこれからも、目の前にいる人の気持ちに憑依しながら、ものづくりを続けていきたいと思っています。それが、Kanonの考える「共感設計」です。

この記事の担当者

KANA IWATSU

Kanon株式会社 代表取締役/「これでいい」ではなく、「これがいい」と選べる人を増やしたい。商品やサービスに込められた想いを丁寧にすくい取り、本当に必要とする人の心へ届くかたちに翻訳します。

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